幸せという病気
「はい、これ」
「何?」
「旅行の写真」
「あ・・・出来たんだ」
「いい顔してんのに、勿体ないなぁ・・・想い出にすんのか?もぅ・・・」
「・・・」
「あと少しの命でも・・・おまえは生きてんだぞ?」
「・・・」
「こんないい奴・・・離すなよ・・・」
「でも・・・」
「でもじゃねぇ。もっとわがままに生きたっていいよ・・・遥・・・」
「・・・」
「そのわがままをわかんない奴じゃねぇよあいつは・・・」
「・・・もう苦しめたくないょ・・・」
「あいつはそんな生半可な気持ちで付き合ったんじゃない」
「・・・付き合ってる人が死ぬんだょ・・・?」
「うん」
「あの子は・・・お兄ちゃんとは違う・・・」
「うん」
「ただ素直で優しくて・・・平気そうな顔してても・・・そんなに強くないんだょ・・・私が苦しんでる姿をいっつも見て、いっつも悩んで・・・でも・・・」
「・・・でも?」
「・・・」
「いっつも一緒に居てくれるんだろ?」
「・・・」
「・・・それを強いって言うんだよ?」
「・・・」
「あいつは逃げない。ちゃんとおまえの傍にいるじゃん。いつもこうやってさ」
小さい頃のおまえを思い出した・・・。