幸せという病気


「はい、これ」

「何?」

「旅行の写真」

「あ・・・出来たんだ」

「いい顔してんのに、勿体ないなぁ・・・想い出にすんのか?もぅ・・・」

「・・・」

「あと少しの命でも・・・おまえは生きてんだぞ?」

「・・・」

「こんないい奴・・・離すなよ・・・」

「でも・・・」

「でもじゃねぇ。もっとわがままに生きたっていいよ・・・遥・・・」

「・・・」

「そのわがままをわかんない奴じゃねぇよあいつは・・・」

「・・・もう苦しめたくないょ・・・」

「あいつはそんな生半可な気持ちで付き合ったんじゃない」

「・・・付き合ってる人が死ぬんだょ・・・?」

「うん」

「あの子は・・・お兄ちゃんとは違う・・・」

「うん」

「ただ素直で優しくて・・・平気そうな顔してても・・・そんなに強くないんだょ・・・私が苦しんでる姿をいっつも見て、いっつも悩んで・・・でも・・・」

「・・・でも?」

「・・・」

「いっつも一緒に居てくれるんだろ?」

「・・・」

「・・・それを強いって言うんだよ?」

「・・・」

「あいつは逃げない。ちゃんとおまえの傍にいるじゃん。いつもこうやってさ」





小さい頃のおまえを思い出した・・・。




< 338 / 439 >

この作品をシェア

pagetop