幸せという病気







必死で探して・・・必死でおまえの名前を呼んだ・・・。


・・・うん。


でも、いなかった・・・。


・・・。


どこをどう探しても・・・。








「それから武・・・遥に手紙をあげたんだって?」

「うん・・・朝起きたら・・・なんか書きたくなって・・・」

「えぇ?急に?」

「うん」

「そぅなの・・・」










・・・そりゃぁそーだよ。結局、遥はどこにも行ってないし、ただの気のせいだった。でも、なんだかすげぇリアルだった。真っ暗だし不安だし・・・でも遥を助けなきゃって必死だった。


・・・疲れとか・・・?


いや・・・でも、夢と現実の境界が無くなった感じだった。


それ・・・幸せ病と同じだね・・・。


あぁ。あれは間違いなく幸せ病の症状だ。


え・・・?


今、こうなる事が・・・あの時からホントはわかってたのかも知んない。目が覚めた後・・・遥に会いたくてたまらなかった。おまえの笑顔とか色々・・・全部思い出したら余計にどんどん遠くへ行っちゃう気がしてた・・・その後、ようやく親父に見つけてもらって、元気そうなおまえの姿見た時、ホントに嬉しくて・・・これからは遥を兄ちゃんとして絶対守ってやろうって、そう思った。


そっか・・・。


あの時、俺が見た夢は・・・今この瞬間の俺達だ・・・。


この瞬間・・・?


今の、俺のこの想いと見ている現実が・・・きっとあの頃の夢と重なり合っちまったんだよ。

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