幸せという病気
そして父親の病室。
父親の心臓がついに止まった。
「香樹君・・・ありがとうって・・・お父さんに言ってあげよ?」
すみれの言葉に、香樹は大きく頷く。
遥・・・じゃあ、病室にいる香樹に合わせて一緒に言うよ?
うんっ。
三人の声が一つになり・・・。
最期を迎える父親の魂へと、真っ直ぐに放たれた。
『お父さん・・・ありがとぉ』
やがて父親の病室に、終わりを告げる音が鳴り響く。
武と遥に刻まれている父親の笑顔が、遠い過去を連れ、知らないどこかへとボヤケながら消えていった。
そして、その父親の命によって繋ぎとめられていた遥の命もまた、死へと向かい、深い闇に消えていく。
ピリリリリリリリ・・・
ピリリリリリリリ・・・
「遥ぁぁ!!死ぬなよ!!おいっ!!起きろぉーっ!!」
その瞬間、かろうじて一定に保たれていた遥の心拍数が急激に低下。
再び、危険な状態に陥った。