幸せという病気
たまたまタバコを吸いに下の階まで降りていたらしい。


「あっ。見舞いに来てくれたの?悪いね」

「いや・・・あの・・・犬!元気になってたから・・・」


遥は思うように喋れないでいる。



「そうかぁ・・・よかった・・・」



その時、安心した竜司の笑顔を見て、遥は胸がギュッとなる。


そして少し話をするとだんだん落ち着きだし、ドキドキしていた気持ちが治まってきた。




遥はふと竜司に尋ねる。







「動物好きなの?」



「・・・どうかな。好きって言えば好きなんかな」







意外だった。







竜司は笑って答えるが、その横顔に遥は暗い影を見つける。

やがて竜司がゆっくり部屋へ入っていくと、遥もその後をついて部屋に入った。

そしてとっさに遥は切り返す。



「・・・そっかっ。でもいい人だねっ?あんなになって助けてあげられるなんてすごいよっ!優しいんだね」


遥は、特に悪いともなんとも言えない雰囲気を、苦し紛れに変えようとした。

それは遥がイメージしていたものと少し違っていたから・・・。

するとそんな遥の言葉に対し、竜司はベットに座り、包帯を巻き直しながら答える。

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