幸せという病気
「なんか用事あるの?渋谷」


「ん~・・・まぁ買い物・・・かな」


武の問いに、何かを隠しているかのようにすみれは答える。


「じゃあ付き合うよ買い物」


思い切って武がそう言うと、少し沈黙になったが、その後すみれは微笑んで小さく頷いた。


やがて二人は少し距離を保ちながら渋谷の街を歩き、すみれはこの間の事はなかったかのように笑顔で武に話し掛ける。

武はそんなすみれを不思議に思いながらも、二人で過ごす時間を楽しんだ。

そして三時間程過ぎ、歩き疲れた二人は店に入って休憩をとる事にした。




「今日はありがとうございますっ」




セルフサービスのおしぼりを武に渡し、すみれは礼を言う。


「いや、俺も楽しかったし。で、買いたいモノ買えた?」

「・・・はい・・・」


武の質問に、すみれは急に少し曇った顔をした。


「・・・疲れちゃった?」

「ん~ん。大丈夫です」


その顔を見て武が気遣うと、すみれは笑みを戻し、首を横に振る。

そして、すみれがウーロン茶を一口飲むと、楽しいデートムードが一変した。

武は、そのすみれの雰囲気に、先日の告白を思い出して恥ずかしくなり、まともに顔を見ることが出来ない。

ただ、すみれが何かを言おうとしている事だけは感じていた・・・。

そして、少しぎこちない会話が続いた後、ついにすみれが今日の買い物の真相を打ち明け始める。




「実は・・・彼氏の誕生日の買い物だったんです・・・今日」


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