幸せという病気
その瞬間、武は何かに胸をギューっと締め付けられる。





「そうなんだ・・・」






それを隠すように、武が引きつった笑いを見せると、すみれはその顔を見ないまま、気になっていた事を思い切って聞き始めた。






「この前の・・・武さんの・・・あれ、冗談ですよね?気になっちゃって・・・」











「あれって・・・?」









武が固まると、一方のすみれは、ウーロン茶のストローをゆっくりと上下に動かしながら気持ちを伺う。










「好きって・・・」















「・・・本気だけど・・・」









武がそう言うと、テーブル越し一メートル間に重い沈黙が流れ、やがてその重さと自分の心臓の高鳴りに我慢出来ず、武が口を開いた。










「・・・でも先生ほらっ彼氏いるんだし・・・あれは忘れていいからさ」











苦し紛れに武は言ってしまった・・・。








この空気が変わるなら・・・そして、すみれの困った顔を見ているくらいならそれでいいと思った。














武は・・・この場を逃げたかった・・・。














するとすみれは、意外な言葉を口にする。
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