幸せという病気







「・・・武さんを好きになるかもしれないのに・・・忘れてもいいんですか?」














思いもよらなかった――。





その瞬間、何か・・・エネルギーみたいなモノが体を駆け上がった気がした。




そして、うつむきながら照れているすみれを、武は凝視出来ぬまま、必死で言葉を探す。










「・・・いや・・・」












「びっくりした・・・でも嬉しかったよ・・・?」









するとすみれは、武からの返事を待つ事無くそう言い、顔を上げて微笑んだ。





その言葉と笑顔で、武はすみれの事が好きだと改めて実感する。


そして意外にも少し落ち着きだし、程良いドキドキ感に任せて、武はもう一度その可能性に賭けてみた。





「・・・先生への気持ち本気だから」



「・・・」



「先生の事・・・マジで好きだから」



「・・・うん・・・ありがとぉ」






すみれがそう照れながら答えると、武はほんのささいな事が幸せに思えた。

世界中、そんなささいな幸せを誰もが日々実感して生きているんだと改めて思い、そして茂が言った言葉から感じていたあの嫌な予感が吹き飛んだ。






だがそんな武の思いとは裏腹に、もう時期、幸せが幸せでなくなる事に武は苦しむ事になる―――。





武は会話の中で、少し余裕が出始める。



「でも・・・彼氏いい人なんでしょ?・・・」



武が試すようにそう言うと、すみれは素直な気持ちを話し出した。


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