幸せという病気
「うん・・・だから・・・踏み込めない。何か発見があったり、優しかったり、そうゆう一つ一つの事で今は揺れるから・・・それがこの先恐い・・・勝手だよね・・・」










「・・・勝手だよ・・・」








「・・・うん・・・嫌いになった?」








「いや・・・変わらない。ただ・・・俺も今は何も言えない・・・当分・・・会うのやめようか」







「・・・ごめん・・・ごめんね・・・?」










武は優しさに負けた。






それはすみれに対して本気だったから・・・。







不器用にくすぶるその気持ちは、本気だからこそ・・・うまく消化出来ず、胸に突き刺さったまま鈍く「好き」という熱だけを残す。


それはやがて「未練」に変わる為、どうする事も出来ない現状を運命に叩きつけられ、その時はただ・・・街の明かりとすみれの涙が、交互にキラキラと光り輝くだけだった。







その頃、遥と竜司は、夜の海にいた。


「花火したい」


遥が竜司にそう言うと、竜司は車を運転しながら答える。


「今言うなよ~。コンビニ過ぎちゃったじゃん」

「だって今思いついたんだも~ん」

「じゃあ車停めて買いにいこっか」


二人は、車を海沿いのパーキングに停め、歩いてさっき通り過ぎたコンビニへ戻った。

途中、遥が尋ねる。


「ねぇ、なんでデート誘ったの?」

「え?行きたそうだったから」

「なにそれ」


竜司が笑顔で冗談を言うと、遥は少しふくれ顔をする。

< 63 / 439 >

この作品をシェア

pagetop