幸せという病気
そしてコンビニに着くと二人はたくさんの花火を買い、車の停めてある海辺へと戻った。


「何からやろうなぁ~」

「まずロケットやろうよ」


遥が楽しそうに花火を選んでいると、竜司はロケット花火に火を点ける。

高い音を立て花火が飛び回ると、遥は耳を塞ぎ恐がった。


「恐いぃ~・・・」

「ハハッ。子供じゃねぇんだからさっ」

「だってぇ・・・」


そう言いながら遥は、隣で子供のような笑顔をした竜司を見て、嬉しさに似た感情が込み上げてくる。

やがて楽しい時間はすぐに過ぎ去り、花火は残り少なくなった。


「やっぱり最後はこれだなぁ」


竜司が線香花火を取り出す。


「あっ。これ好き~」


そう言うと、遥も線香花火をやりだした。



そして時間が静かになると、竜司の顔が真剣になる。




「なんでデートに誘ったかって・・・もっとおまえを知りたかったからじゃないかな・・・」



それを聞くと遥は、急に真剣になったその顔と声にびっくりする。




「そっか・・・」




「俺さ・・・なんか、遥になら素直になれそうな気がする・・・それは多分、誰よりも遥が素直だからかもな」





「・・・」









「今まで恐かった・・・人を信用出来なくて・・・でも遥はさ・・・ありのままでいてくれるから・・・だから俺も正直に生きたいってそう思った。こんな世の中でもさ、死ぬかもしれないけど俺は希望ってのから逃げたくない・・・自分に逃げることだもんな・・・だから今日気付いたよ・・・」









「・・・ん?」










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