幸せという病気
「・・・どうしたらいいか・・・初めてだな、おまえに相談されるなんてのは・・・男ってのは責任感がいつからか生まれてくるもんだ。それは家族を持ち、養っていくうちに生まれてくるものでもない。自分の生きてきた証からだ。愛する人と一緒になろうと決めた覚悟。子供を産ませた覚悟。大事な人を守ろうと決めた覚悟。仕事だってそうだ。任された事をやり抜こうとする覚悟、応えようとする覚悟。そして、自分を信じぬく覚悟・・・ただな・・・」
武は黙ってかみ締めている。
「ただ・・・勘違いだけはするな。それは嘘をついて決めても何の意味もない。別に俺は、おまえに、捕まったから、あいつらを育ててくれと頼んだわけじゃない。なんでおまえが夢を捨てて育ててんだ。覚悟を決めたんだろう、大事な人を守る為に。たとえどんな世になろうとな・・・綺麗事じゃなく、てめぇがてめぇで覚悟した事に嘘がねぇんなら最後まで揺らぐな!!夢を諦めた!?逃げてるだけだろーが!俺はな、子供ができたから夢を諦めるだとか、生活できないからだとか嫌いなんだ。そりゃぁ、現実考えちまうからな・・・ただ、生き抜くってのは形がどうなろうと、自分のエネルギーを満タンで走ってくもんだ!逃げてんじゃねぇぞ!」
武は笑みを浮かべ、自分の自信が取り戻された。
父親が続ける。
「俺は後悔していない。あの日の事。実際、誰が見ても最悪な状態になっちまったがな・・・わかっておけ・・・俺のわがままな人生におまえらが乗りかかってんだ。自分を主張したいなら、お前の人生に俺が乗りかかってると思え。そうすれば俺は、ただのお前の人生のひとかけらだ」
外は夕方から夜になり始めていた。
ネクタイを緩め、武は自分の家へと帰る。
父親が建てた家。
自分が繋ぎとめている家。
玄関を開けると、香樹が遊んで欲しいとねだってくる。
武は頭を撫で、風呂に入ろうと笑顔で言った。
祖母も遥も、武に何を聞くわけでもなく、いつものように接する。
それは紛れもなく武の家族だった。
家族は形を変えていく。
誰かがいなくなり、誰かが一員になる。
辛い家族もあれば、幸せな家族もある。
その時武は・・・。
その家族に幸せを感じてしまった・・・。
武は黙ってかみ締めている。
「ただ・・・勘違いだけはするな。それは嘘をついて決めても何の意味もない。別に俺は、おまえに、捕まったから、あいつらを育ててくれと頼んだわけじゃない。なんでおまえが夢を捨てて育ててんだ。覚悟を決めたんだろう、大事な人を守る為に。たとえどんな世になろうとな・・・綺麗事じゃなく、てめぇがてめぇで覚悟した事に嘘がねぇんなら最後まで揺らぐな!!夢を諦めた!?逃げてるだけだろーが!俺はな、子供ができたから夢を諦めるだとか、生活できないからだとか嫌いなんだ。そりゃぁ、現実考えちまうからな・・・ただ、生き抜くってのは形がどうなろうと、自分のエネルギーを満タンで走ってくもんだ!逃げてんじゃねぇぞ!」
武は笑みを浮かべ、自分の自信が取り戻された。
父親が続ける。
「俺は後悔していない。あの日の事。実際、誰が見ても最悪な状態になっちまったがな・・・わかっておけ・・・俺のわがままな人生におまえらが乗りかかってんだ。自分を主張したいなら、お前の人生に俺が乗りかかってると思え。そうすれば俺は、ただのお前の人生のひとかけらだ」
外は夕方から夜になり始めていた。
ネクタイを緩め、武は自分の家へと帰る。
父親が建てた家。
自分が繋ぎとめている家。
玄関を開けると、香樹が遊んで欲しいとねだってくる。
武は頭を撫で、風呂に入ろうと笑顔で言った。
祖母も遥も、武に何を聞くわけでもなく、いつものように接する。
それは紛れもなく武の家族だった。
家族は形を変えていく。
誰かがいなくなり、誰かが一員になる。
辛い家族もあれば、幸せな家族もある。
その時武は・・・。
その家族に幸せを感じてしまった・・・。