幸せという病気
「先生、恋愛出来ないって言ってた。病気が恐いからって・・・確かに恐いけどさ、俺はおまえをすごいって思ってるよ?それを先生にも言ったんだよ・・・あいつは恐さを知ってて前に進んだって。だから、おまえのそうゆう真っ直ぐなとこすごいいいと思うよ?俺」
「・・・あのさ、いいって何?」
「何って・・・」
「・・・病気になっちゃったら終わりじゃん!真っ直ぐ!?そんなんで死んでたらただの馬鹿だよ!わかったような事言わないで!」
その時・・・。
「・・・遥・・・」
「・・・・恐いんだよ・・・お兄ちゃん・・・死んじゃうんだよぉ??」
強がりと我慢が吹き飛び・・・遥は泣き崩れた・・・。
「恐いよぉ・・・死ぬのやだ・・・」
「・・・ごめんな・・・ごめん・・・」
そして武は、遥を抱き寄せる。
「死にたくないよぉ・・・私・・・せっかく恋出来たのに・・・」
「・・・」
「せっかく・・・人を好きになれたのにさ・・・」
「・・・」
「生まれて初めて・・・幸せだなぁって・・・」
「・・・うん」
「そう・・・思えたのに・・・」
そしてここから全てが始まった。
幸せ病との戦いが・・・。
もう時期、始まろうとする寒さか・・・。
それとも・・・短い命の意味を伝えようとしているのか・・・。
外ではただ、凛々と鈴虫が鳴いていた・・・。