幸せという病気
そして数時間経ち、別のフロアーでは手術が終わり、竜司が運び出される。




「先生・・・竜司は・・・」




「・・・大丈夫です。ただ、一ヶ月ほど入院になりますよ?」




その医師の言葉に、安堵で武は足の力が抜け、座り込んだ。

一息つくと、突然武は医師にお願いをし始める。




「先生・・・お願いがあるんです」


「はい、なんでしょう」


「竜司を伊崎遥と同じ病室へ入れてもらえませんか・・・?」


「え・・・?お知り合いか何かですか?」




医師が聞き返すと、武は昨日の竜司の言葉を思い出した。




《俺・・・今バイトしてるんです・・・》

《バイト?》

《はい。資金貯めようかなって・・・》

《何の》

《結婚のです》












「・・・伊崎遥は・・・竜司の婚約者です」










「・・・そうですか・・・わかりました」








婚約が決まったわけでもない。


武は竜司の言葉を信用していた。



そして医師は笑顔でそれを承諾してくれ、次の日から竜司と遥は、同じ病室で入院生活を送る事となった。

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