幸せという病気
「・・・どうしたんだよ・・・」


「私は馬鹿だよ・・・病気になっちゃって・・・恐いし誰かに代わってほしいし・・・子供だもん・・・先生みたいに大人じゃない・・・突っ走る事しか出来ないもん・・・すごくないよそんなの・・・」



「別におまえが子供だとか、先生が大人だとかじゃないんじゃないの?・・・」



「だったら、相手の男によるんだよ・・・お兄ちゃんの先生への好きと、竜司の私への好きの大きさかな・・・私は竜司を信頼出来たから・・・」



「・・・」




武が黙ると、遥はすぐに謝った。




「・・・ごめん・・・」




「いや・・・」



「最近、不安定で・・・ごめんね?・・・多分・・・先生ほんとに病気が恐いんだよ・・・変に試すような事言ってごめん・・・私のした事が正当化されるんじゃないかって思って・・・自分一人悩んでて辛くて・・・仲間がほしくて・・・」



遥はどうしたらいいかわからない自分に涙が溢れてきた。

そんな遥に武は優しく答える。



「わかったから・・・誰もおまえを否定なんか出来ないよ。おまえの言うように、確かに俺・・・かっこばっかつけてる・・・すみれ先生とまともに目を見て話せない・・・多分、彼女の事・・・知ってるようで何も知らない。傷つくのが恐くて、好きって気持ちからも逃げてる・・・おまえにはこんなに正直に話せるのにな」



「でも・・・取り返しつかなくなるよ?・・・先生の気持ちがそっちに行っちゃったら・・・手遅れになっちゃうよ?」



「・・・あぁ」





時計は午前二時をまわっていた。


外はコンコンと雪が降り積もり、その白さが二人の心を鮮明に映し出す。


それは・・・何もなければ見なくても良かった、その純粋さに存在する少しの傷さえも、浮き彫りにさせようとしていた。
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