幸せという病気
「後って・・・どうして・・・」

「・・・別に・・・理由はないけど」


本を閉じ、遥が竜司に背を向けると、その背中を見つめながら竜司が伺う。



「結婚・・・やっぱ嫌?」



「・・・嫌じゃないけどさ・・・」



「だったら・・・なんで?」



「なんでか・・・まだ若いし」





遥の声が少し冷たくなった。





「・・・あぁ・・・まだ十八だしな・・・」



「じゃなくて。竜司がね」



「俺?」



「まだ二十歳だし・・・その・・・他にもいい子いっぱいいるしさぁ・・・まだ決めるの早くない?」






そして遥がそう言うと、竜司の顔が真剣になる。





「遥・・・どうゆう意味?」



「どうって・・・だから・・・」



「他にいい奴見つけろって?」



「・・・その方がいいんじゃない?私は・・・駄目だよ多分・・・」



「・・・じゃあ、そうするよ」



「え・・・」



「・・・また来る」







そう言って、竜司は病室を出た――。


















《否定してくれるって思ってた・・・》







《そんな事言うなって・・・》







《いつもみたいにギュってしてくれるってばっかし思ってた・・・》







《恋愛は・・・》





















《楽しい事ばかりじゃないんだね・・・》

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