幸せという病気
遥の病室からは、二つの大きな木が見える。

遥は一人、春にはどんな花が咲くんだろうと想像していた。

二つの木は多分、桜だろう。

ここから見る桜はどんなだろう・・・。

いつも見ていた桜と同じだろうか、それよりもそれまで生きていられるのだろうか・・・。


そんな事を思いながら遥は悲しみで涙を流し、寒さの中、揃って並びながらも・・・淋しそうなその二つの木には、とても希望が見出せるはずもなかった・・・。




そして竜司は武のもとに向かう。

家に着くと、玄関先でポチポチが駆け寄ってきた。


「今日はお別れに来たんだ・・・そんなにシッポふるな・・・」


竜司は唇をかみ締めながらポチポチを撫でると、武に案内され部屋へと上がる。



そして二人は話し始めた。


「・・・俺・・・遥と別れようと思います」


突然、竜司がそう言うと、武は少し驚きながら聞き返す。
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