龍の女神となるべき姫【上】


――――――――………………
――――――……………
――――…………


―――ヒョイッ



「……なっ!?」




何の前触れもなく、亜美ちゃんが消えた。



慌てて手すりに駆け寄ると、亜美ちゃんは平然と下の奴らの前に立っていた。



予想外の行動に、誰も声を出せなかった。





亜美ちゃんの無事に安堵していると、隣に悠基がいることに気がついた。



悠基も焦って駆け寄ってきた?



いやまさか。


女に関心を示さない悠基が?



銀姫にした理由は、責任感以上の何かがあるんだろうか?






―――フッ



!?


悠基が笑った?



それも、まるで愛しいものを見つめるかのように―――



こんな表情をした悠基を見たことがない。




いや、2回目か。



“あの人”以来だ。


悠基にこんな顔をさせたのは。




……悠基は決して鈍くない。



自分でも気づいているんだろうな。












―――恋していることに。


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