龍の女神となるべき姫【上】
―――ヒョイッ
「……なっ!?」
気づいた頃には、悠基は2階に風だけを残して姿を消していた。
・
さすがは風龍の総長だ……。
なんてしょうもないことが頭の中で渦巻いている―――
少しずつ平静に戻ってきたが、悠基の心配は全くしていない。
君は、真冬の海に落とそうがチーターと格闘させようがケロッとしている奴だからね。
……多分。
だけど、総長に弱味ができちゃったな。
何としても守らないと。
暴れたあいつを簡単に止めることができたのは、今までに“あの人”だけだ。
今、どうしているかもわからない、“あの人”―――