龍の女神となるべき姫【上】
「上行くぞ」
総長以外は先に幹部部屋へ行っていたから、総長が女性にそう言った。
……見惚れるような光景だ。
これ以上のお似合いは、いないんじゃないかと思う。
でも、何だか総長……。
『機嫌悪い?』
俺の気持ちを代弁したのは、意外にも女性だった。
「気のせいだ、ばーか」
「「「……!?」」」
本当に驚いた。
総長が自分から女に構うなんて。
あの女性は一体、何者なんだろう?
2人が消えた扉を見つめながら、俺たちはしばらく呆然としていた。