龍の女神となるべき姫【上】
「亜美、顔色悪いで。大丈夫か?」
『気のせいじゃない?大丈夫だよ』
いけない、いけない。
感情が、表に出やすくなってきてる。
いい傾向なんだけど、みんなに心配をかけるくらいなら前のままでよかった。
「そうかぁ?なら、ええけど」
信じてもらえたみたい。
よかった。
これ以上、誰にも迷惑かけたくない。
このときの私は、周りが見えてなかった。
だから、どんな変化も見逃さないとでも言うかのように、私をじっと見つめている人がいるなんて。
―――気づけなかった。