龍の女神となるべき姫【上】
―――クイッ
誰かに服の裾を引っ張られた。
それは決して強い力じゃなかったけど、振り向いた俺は、相当鬱陶しそうな顔をしてたと思う。
これが秋都だったら、問答無用で殴ってただろうな。
でも、そこにいたのは亜美だった。
ささくれ立っていた心が、収まっていくのがわかる。
『喧嘩やめて……?』
「~~~っ」
……何つぅ破壊力。
上目遣いの上に、真っ赤な顔しながら微笑むとか。
他の女がやってもキモいだけだけど、こいつがやったらまじでやべぇ。