龍の女神となるべき姫【上】
黒髪のウィッグで銀の髪を隠して。
黒のカラコンで空色の瞳を隠す。
ふぅ、と1つ深呼吸。
私は銀姫。
天姫が必要とされるそのときまで、私は風龍の姫としてみんなの傍にいる。
もう弱い自分が出てこないように、しっかりと言い聞かせる。
―――コンコンコン
「お嬢様、朝食の支度が整いました」
時計を見ると、ぴったり7時。
あまりの時間の正確さに、何だか笑けてくる。
『今、行くね』
鏡に映る女の子は、高校生とは思えないほど、凛々しかった。