龍の女神となるべき姫【上】
「あ、そや。聞いたで、悠基。
愛歌[アイカ]さん、パリから帰国したんやってな」
―――ドクッ
『あいか……!?』
心臓がドクドクと波打つ。
秋都と悠基の会話に口を挟むつもりなんてなかった。
でも、たった1人。
この人の名前を私が聞き逃すはずがない。
いや、聞き逃しちゃいけないんだ―――
でも、駄目。
今近づいたら、私は壊れちゃうかもしんない。
強くなろう、って思ってすぐに、この人に近づくなんて思いもしなかった。
私は、まだ全然強くなっていないのに。
だけど、秋都の言うあいかさんが、私の思う愛歌さんだとは限らない。