龍の女神となるべき姫【上】
それにしても、こんなにも深い愛情は見たことがない。
天空学園にも子離れしてない親はたくさんいるが、それでも、だ。
「拓也、俺と亜樹の宝物を、頼みます」
ずっと穏やかな顔をしていた兄さんが、急に真面目な顔をしてそう言った。
……ちっ。
かっこいいじゃねーか、兄さんよ。
ガキの頃は嫉妬したりもしていたが、今ではそんな気も起こらねーよ。
でも悪いな、兄さん。
俺はそこまで素直じゃねーんだ。
「勘違いすんなよ?
俺が守るのは、俺の大切な姪だからだ」
「ふっ。そうか」