龍の女神となるべき姫【上】
……俺の本心もお見通しかよ。
ちっ、亜美によく似てやがる。
いや、亜美が兄さんに似ているのか。
そうやって、変な納得をしていると。
落ち込んだ顔をした義姉さんの肩を引き寄せながら、兄さんはふざけるように言った。
「亜樹、早くお前に似たあの可愛い亜美の笑顔を見たいな」
「ま、まあ。何を言っているの?」
……全く同感だ。
って言うか、兄さんにも俺と同じ、ふざけた性格の血が流れていたんだな。
俺は、独身の俺を嘲笑うかのような応接間の空間から、諦めに似た気持ちで出ていった。
〔拓也side end〕