あなたとわたし〜魔法と呪い〜2


「…どうして断ったのか…聞いてもいい?」

やっこ先輩は聞きにくそうにしてたけど…

やっぱり頼れる先輩で…

幹斗を知らないし…
…言える気がした。



「お互い頼りすぎちゃって…だめになっちゃう気がしたんです。


新人で余裕もないし。

それに…」


湯川先輩は黙って聞いてくれてた。

やっこ先輩はうんうんって頷きながら聞いてくれた。


「…それに…まだまだドキドキしたいんです。

幹斗っていうんですけど…
幹斗と週末会うためにも仕事頑張りたかったし…

一日の終わりは…幹斗の声が聞きたい。

そこで『仕事お疲れ』って『よく頑張ったね』って言ってもらいたくて。


そんなヨコシマな理由で仕事してたらダメですよね…」


「『ダメじゃないよ。』」

…ハモった…

「ダメじゃない。

言ったじゃん。
私は真也が『一緒に頑張ろうって』いったから頑張れたんだよ。

頑張る理由なんてなんでもいいの。」


「…俺はね、その彼の気持ちもわかるよ。

男は皆、自分だけを思ってて欲しいし、自分だけを見ててほしい。


でも…今の素直に言えばいいよ。

あんなふうに言われて…嬉しくないわけないから。」


そうなんだろうか…

「さっきさ、初めて会社で声かけられたって言ったろ。

会社の中ではさ、康子は皆の『やっこ』なんだ。

先輩も上司も後輩も。

めちゃくちゃ腹立つよ。


俺のなのに…


結婚の報告もさ…きっとすげえ怒られるんだ。

『うちのエースになんてことを』ってさ。


でもやっと…俺のって言えるんだよ。


その彼もさ…苦しまなきゃ仕方ない。

出来る女の彼氏なんだから。

そんな出来る女がさ…『あなたのために頑張りたい』って言ってんだから、応援しなきゃさ。


で…自分も負けないように頑張んないと。


頑張れ期待の新人ルーキー」


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