先生の片思い
「おお。いいな、これ」
変な考えを拭い去り、ソファを見るとかなりいい雰囲気。


落ち着いたデザインだし座り心地もいい。
くたっとソファに座ったまま動こうとしない柚奈。



こいつ猫みたいで可愛いな。
ふらふら出て行って、やっと見つけたと思ったらすやすや寝てるような暢気な猫。



「先生、何ニヤニヤしてるんですか。キモイですよ」



はっとした。
俺、ニヤニヤしてた??


「キモイとか言うな、あほ」
視線を泳がせると、近くにいた女の人と目があった。



「そうだ…。さっきからお前デカイ声で先生って連発しすぎ」
小さくため息を漏らす。
周りから[生徒とデート?]みたいな目で見られるのはちょっと…。



「頼むから先生って呼ぶな」
俺に言われて気づいたのか、何て呼ぶかを考え出した。



「伊織さん…。いおりん…キモいな」

「キモいって言うなってば」
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