先生の片思い
お隣さん
「疲れた…」
ベッドに身を投げ、何気なく窓の外を眺めた。
初めて見る建物。
初めて吸う空気。
初めて会う人々。
以前住んでいた場所があまりに心地よかったせいか、少し寂しさを感じた。
始まりの季節はあまり好きじゃない。
これといって嫌いなことがあるわけではないのだが…。
ぼーっとしているうちに景色は徐々に変化し、赤かった空が黒に染まり小さな光をともしていた。
今何時だろう…。
腕を見るが、時計はついていない。
…邪魔だったから外したんだった。
ゆっくりと体を起こして、テーブルに置かれた腕時計を取りにいく。
―7時48分―
1時間ちょっとぼーっとしていたようだ。
腕時計をつけ、財布とケータイをズボンのポケットに入れて部屋をでる。