先生の片思い
電話をきってから30分ほどして柚奈がインターホンを鳴らす。


「すいません、急に…」
申し訳なさそうに俯く。
柚奈が持っていた少し大きめのバッグを持って、頭をぽんぽんと軽くたたく。



「気にするな。困ったときは隣のおじさんくらい頼っていいさ」
こんな顔するなんてよっぽど困ってるんだろう。
少しくらい笑わせてやりたかった。


上目遣いで俺を見上げる。



…可愛い。





しかし、可愛いと思ったのもつかの間。
柚奈の目に涙がたまり始める。



「怖いよぉ…」
ぽたぽたと流れる涙を一生懸命涙を手で拭いながら泣き出す。




「どうしたんだよ…」
そっと近づいて柚奈を抱き寄せる。
柚奈らしいさわやかな香水が香る。


でもそれが何故か悲しい香りに感じた。
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