あたし、脱ぎます!《完》
東急ハンズを出ると、
淳平くんは
キョロキョロしながら、
「こっちかな」と歩き出した。
辿り着いた場所は
真白な壁に
ブリキの玩具が
窓際に並んだカフェだった。
中に入ると、
二階が吹き抜けになった
オシャレな空間に、
たくさんの女の子が
ケーキを食べていた。
「こちらにどうぞ」
フリルのついたスカートに
小さな黒のエプロンをした店員さんが、
あたしたちを
窓際の席に案内する。
薄っすらと
西日が差す、
眺めの良い席。
「萌香ちゃん、
ケーキ食べるよね?
俺は紅茶で良いんだけど」
「じゃあたしも飲み物だけで」
「ホント?
さっきケーキ見て、
美味しそう!って顔してたでしょ?」
……うぅ。バレてるぅぅぅ
店内に入った瞬間、
焼きたてのケーキの香りに、
脳は一撃された。
そんな表情を見逃さないでいてくれた淳平くん。
嬉しいけど複雑な感じ……。