あたし、脱ぎます!《完》



「……じゃ、
このショートケーキも頼みます」



「ちゃんと
食べたいものを言いなよ」



淳平くんは
店員さんを呼び、

ショートケーキを注文してくれた。


店員さんも
「はい♪」と

猫のような声で返事をする。



「ね?
今日は東京に何しに来たの?」



向いに座る淳平くんが
肩肘を付きながら、

あたしに尋ねた。



……そっか、

まだ何にも
話していなかったんだ。


もう言っても良いのかな。


形になるまで

言わないほうが良いような……。



「……えっっと」



……何て言おう。



「言いたくないなら良いけど……。

東京に彼氏でもいるの?」



モジモジとしているあたしに

投げられた言葉。



彼氏なんている訳ないじゃん!

ずっと淳平くんが好きなんだよ!!



「彼氏なんていません!!」



とっさに上げた声に、

となりの席のカップルが
こっちを見て目を丸くする。



「いやいや。冗談だよ。

もし彼氏がいたら、
俺と何か会わないよね」



「ごめんなさい!
ムキになっちゃって。

淳平くんは彼女出来ました?」



自然に出た言葉。


知りたいけど、

知りたくないような。


確かめたい思いが言葉になった。

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