あたし、脱ぎます!《完》
ギュッと
握られた手は、
ゴツゴツしているけど、
とっても温かい。
体全身を
温めてくれるような感触だ。
淳平くんは
西武デパートの入口で
手を離した。
「……あ、ごめん」
急に
恥ずかしくなったのか、
手を後ろに
引っ込める淳平くんに、
あたしは
「ううん」と答える。
驚いたけど、嬉しかった。
握られた手は
胸をジワッと温かくさせた。
「……あ、あのさ。
こんなこと言うの……、
今更なんだけど……」
うつむいたまま、
目線を合わせようとしない。
いつもの
淳平くんとは明らかに違う。
車のエンジン音、
人の笑い声、
紙袋が擦れる音、
軽快に進んで行く足音。
雑踏の中で
淳平くんは顔を上げ、
あたしを見つめた。