あたし、脱ぎます!《完》
卒業式のとき、
俺のボタンが
もらえなくなくて泣いている萌香を見た時、
俺のこと好きなのか?と
思ったが、
本人からは
何も言って来ない。
俺は
理に言われた通り、
高校時代に
愛用したバスケットシューズを
萌香に渡した。
萌香は
受け取ると、
俺に視線を向けた。
大きな瞳に
見つめられると、
「好き」だと
告げたくなかった。
でも
俺は東京に行ってしまう。
わざわざ
遠距離恋愛をする必要はない。
いつ会えるか分からないのだから……。
俺の恋も
ここで卒業すると決めた。
大学に行って
理から何度か合コンの誘いを受け、
二度
参加したことがある。
でも
俺には馴染めない雰囲気だった。
お酒を飲んで、
わいわい騒いで……
その時は楽しい。
でも
その後に続く出会いはなかった。
好きになれる子はいなかった。