あたし、脱ぎます!《完》


「雄介??」



放課後の教室で、

ギターケースを抱える雄介に声をかけた。



「お、何?」



「これから練習?」



「あぁ。
文化祭でバンドやるからな。

萌香も観に来いよ」



雄介は
あたしのおでこを

指でツン!と押すと、
歩き出してしまった。


カバンとギターケースを肩から下げ、

教室を出て行く雄介を
目で追いながら、

「もう!」と言葉を漏らす。



雄介には
淳平くんと付き合ったことを
報告していた。


喜んでくれるだろうと思っていたのに、

意外にも

「そっか。
良かったじゃん」の

呆気ない一言だった。



自分より、

あたしが先に恋人が出来て

面白くなかったのかな。



その日から
話しかけても
素っ気ない態度を取られてしまう。


佳代の恋も
何とかしたいけど、


雄介が
こんなんじゃ……難しいよ。






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