あたし、脱ぎます!《完》
「俺さ。
これから用事あるんだ。
だからここで良い?」
「はあ?!
お前、何言っているんだよ!?
心配して
ここまで来たんだぞ!」
淳平くんは
閉めようとしたドアに
足を挟み、
声を上げる。
「淳平……。
俺、学校辞めようと思って。
自分の中で
ちゃんと決まったら話すよ」
「だったら、
今、話せよ!!
テキトーなこと言うな!」
10センチほどの
ドアの隙間を
思いっ切り開く
淳平くんに、
理くんは
うつむいたまま溜息を付いた。
そして
「入れよ」と
部屋に中へ消えて行った。
淳平くんは
呆然と立っているあたしの手を取り、
中へと進んで行く。
変わり果てた
理くんの姿に、
淳平くんの
手の温もりを感じる余裕などなかった。
理くんの部屋は、
相変わらず
空缶がいくつも転がり、
カーテンは
閉め切っていた。
ベッドの様子から
先ほど、
起きたのではないだろうか。
あたしたちは、
床に腰を下ろすと
「コーヒーで良いか?」という理くんに、
「あぁ」と
淳平くんが答えた。