あたし、脱ぎます!《完》



シーンとする部屋の窓から
雨音が響き、

それに
沸騰するヤカンの音が加わる。



テーブルに
並べられた三つのコーヒーを

それぞれが持ち、
口に運んだ。



「わざわざ
来てくれたのに、

さっきはすまなかったな。

萌香ちゃんもごめん」



気持ちが
落ち着いたのか、

昔の理くんに戻っていた。



「お前、
何で学校行ってないんだよ?

何かあったのか?」



「実は」と
コーヒーを再び口に運び、

あたしたちに視線を向けた。



「……俺、
美容師より向いているものを
見つけちゃって……」



少し
誇らしげな表情を見せる理くん。



「何だよ?それ?」



挑発的な淳平くんに、

理くんは
目線を落としコーヒーを飲む。


あたしは
部屋の見回し、

ピンと来るものがあった。


壁にかけてあるスーツ、

机の上に
置いてあるブルガリの香水、

金やシルバーのアクセ……。


もしかして、


理くん……。


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