あたし、脱ぎます!《完》
「……理くん?
もしかして、
ホスト……やっている?」
自然と出てしまった
あたしの言葉に、
淳平くんは
「え?!」と声を上げ、
理くんを直視した。
「……あはは。
萌香ちゃん、鋭い!!
そ、そうなんだ。
俺、ホストやっているんだ」
ぎこちない笑みと
完全にペースを崩された口調の理くんに
淳平くんは
勢い良く立ち上がり、
胸ぐらを掴んだ。
「お前、馬鹿か!
おじさん、おばさんには
何て言うんだよ!!」
「金は働いて返すから良いだろう!!」
「返せば良いってことじゃないだろう!!」
淳平くんは
掴んでいた手を振り払うと、
理くんは
体勢を崩し、
TV台の角に肘をぶつけ、
痛そうな表情を浮かべた。
「理くん?
どうして、ホストになったの?
美容師にはなりたくないの?」
あたしは
倒れ込んだ理くんを支えながら、
上体を起こす。
「バイトで
始めたんだけど、
そっちが楽しくなっちゃって。
やりがいがあるんだ」
理くんは
真っ直ぐと、
あたしたちを見ていた。
その真剣な眼差しに、
淳平くんは
「そっか」と言うと、
あたしの手を引き、
玄関へ向かった。