あたし、脱ぎます!《完》
「え?何?
お前たち、付き合ってんの?」
「あぁ。2週間前からな」
「何だよ!!
俺のことを応援するって言ってくせに。
ちぇっ!面白くねぇ」
藤原さんは唇を尖らすと、
他の部員と共に、
2階へ上がって行った。
淳平くんは
「こっちに座ろう」と
あたしの手を引き、
近くの長椅子に腰を下ろした。
体育館からは
練習をしている掛け声が響く。
「どうしたの?
今日、山梨に帰るんじゃなかったの?」
「そ、そうなんだけど……。
淳平くんに
会いたくなっちゃって……。
でも
藤原さんに会うなんて思わなくて……」
「そっかぁ……」
素っ気ない返事。
淳平くん、怒った?
急に来てごめんね……。
うつむくあたしの頭に
淳平くんの手が乗った。
温かい優しい手が
小動物を撫でるようにゆっくりと動く。
「来てくれて嬉しいよ。
俺も萌香に会えたから試合、頑張れそう」
あたしの胸は
キュンと高鳴り、
言葉が出て来なかった。