あたし、脱ぎます!《完》
第④章

デビュー




……あぁ、暑い。

アイス食べたい。



クーラーが
ガンガンに利いた電車から降ると、

眩暈がするほどの暑さに
頭がクラッとした。


家まで
徒歩8分、

歩けるだろうか……。


家路を歩いていると、

「同じ電車だったんだ!」と
背中を押す奴がいた。


暑さで
イライラしているあたしは、

オットトト……と
体勢を崩す。


そして
睨むように振り返ると、

着崩した制服のポケットに手を入れ

「よ!」と
右手を上げる雄介が立っていた。


「雄介か……。

もう……疲れることしないで」



「何だよ。
せっかく
一緒に帰ってやろうと思ったのに。

ほら、行くぞ」



マイペースというか、

俺様系というか……、

佳代は
こんな雄介のどこが良いんだろう。



雄介と家路を歩くのは、
いつ振りだろう。


まとも口を利いたのも、
久し振りだった。


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