あたし、脱ぎます!《完》
「もう!
萌香も馬鹿兄貴なんて見てないの!!」
そんなあたしたちを横目に、
Tシャツを肩まで捲り上げ、
滴る汗をキラキラとさせながら
王子さまが
通り過ぎようとした。
「淳平くん!!!」
いつもより
1オクターブ上の声色で
佳代が呼び止めた。
「おお!
佳代ちゃん、理のバスケを観に来たの?」
淳平くんが佳代に笑いかけ、
タオルを
フワッと自分の首に巻きつけた。
「兄貴は興味ないんだけど、
バスケを見たくて」
「佳代ちゃん、
バスケに興味あるの?
だったら、
部活に入れば良いのに」
「いやぁ。
兄貴と一緒の部活だと、
何かと面倒だから……」
淳平くんは
佳代に優しく微笑みながら、
チラッと
あたしに視線を向けた。
胸が張り裂けそうなぐらい
ドキッとしてしまう。