あたし、脱ぎます!《完》
真鍋さんから
「スタイリストの山根さんだよ」と
紹介されると、
その男性は
「山根です♪宜しく。
あたし可愛い子が好きなの。
男も女もよ♪」と
ウインクをする。
「……は、はじめまして
……永井萌香です。
宜しくお願いします。
こっちは従姉の愛美ちゃんです」
「佐藤愛美です。宜しくお願いします」
あたしたちは
オドオドした状態で
頭を下げると、
山根さんは
「やだわ。
ちょっとこの子たち、
アタシのこと怖がってる?
アタシ、怖いオカマじゃないわよ」と
手を縦に振った。
TVで
オネエさんたちは
見たことがあるけど、
リアルに見ると
ちょっと度肝抜かれちゃう。
でも山根さんは
「早速見てちょうだい」と
持ってきた衣装を
あたしの前に広げた。
「わあ!これ超、可愛い♪」
最初に声上げたのは
愛美ちゃんだった。
「あら、あなた、センス良いわね。
それ、知り合いの
デザイナーが作った
グラビアアイドル用の水着なの。
今のところ世界で一つしかないのよ。
ちょっとエッチだけど、
萌香ちゃんだったら
清楚な感じにも着こなせると思って」
山根さんは
あたしのことをしっかり見てくれている
……そう感じた。
ただの水着ではなく、
シルエットやデザインによって
あたしが着たら
「こうなる!」と
わかっているようだった。