あたし、脱ぎます!《完》


あたしたちを乗せた車は
渋谷の街を抜け、

真鍋さんがお勧めする
イタリアンの店を目指した。


ログハウス調のレストランは
テラスでも食事が出来るようになっているが、

真昼の太陽が照りつける外では、
さすがに、食事している人はいなかった。



扉を開けると
カランカランと鐘の音が鳴り、

「いらっしゃいませ」と
いう声が聞こえた。


お昼時とあって、
店内は混み合っているが、

運良く入れ替わりのお客さんがいたため、
すぐに座ることが出来、

満面の笑みでメニュー表を覗き込む。



「好きなもの食べなよ。
萌香ちゃんには、
これからどんどん頑張ってもらうから

高いもの食べても平気だよ(笑)」



可愛い企み笑いを浮かべる真鍋さんに、

愛美ちゃんが

「じゃ、私はこれ!」と

遠慮なく、
一番高い海鮮パスタを注文した。


あたしもこれが良いなぁと思っている様子に

真鍋さんは、

「萌香ちゃんも
これが良いんでしょ?

じゃ、これ3つにしようか」と言い、

ウエイトレスを呼んだ。



あたしなんか、

まだまだ駆け出しの新人。


売れるかどうかもわからないグラビアアイドル。


きっと
投資したお金や時間から考えたら、

いつ回収できるのか、
わからないぐらいだ。


ちゃんと期待に応えて行けるのかな。






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