あたし、脱ぎます!《完》

男の子の気持ち



体育館に入り、
二階へ上がると

両チームが
ウオーミングアップをしているところだった。


順番に
シュートを決める人たちの中に、

目が留まる。



「あっ!淳平くん!」



自然と洩れる声に、

「え?!どこどこ?どれ?」と

覗き込む愛美ちゃん。



「えっとね。

次の次に……。

あ!!
今、ドリブルして……、

シュートした……入った!!」



「え?
今、シュートした人??

……へえ〜。
イケメンじゃん!!背高いね」



あたしたちは
好き勝手なことを言いながら、

淳平くんのことを眺めていた。


背が高くて、
誰よりも高くジャンプして

シュートを決める淳平くん。


薄っすらと流れる額の汗を
Tシャツの袖で拭い、

また走り出す。



二階のギャラリーにいるあたしに

まだ気づいていないのが
ちょっと寂しいけど、

仕方ないよね。

これから試合なんだし。



ピーーーー!!



ウオーミングアップ終了の
ホイッスルが体育館に響き、

各チームのメンバーは
指定場所に向かう。



その時、
淳平くんがこちらに
視線を向けた。

ぶつかる視線にドキッとする。



淳平くんは
いつものように軽く手を上げ合図を送る。


“頑張るからな”と

言う表情に、

あたしも
満面の笑みで手を振った。





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