あたし、脱ぎます!《完》
あたしは
土橋くんから
黒色のメイド服を受け取り、
更衣室へ向かった。
ガラッと
更衣室の扉を開けると、
着替えをしている女子で
熱気に満ちていた。
あたしは
隅の方のロッカーで
制服とスカートを脱ぎ、
ワンピース仕立てのメイド服に脚を通す。
「……んん??」
かなりの違和感。
どう考えても
スカートが短い。
フワッと
広がったスカートの中は
何枚ものレースで覆われ、
パンツは
見えないようになっているが、
脚は丸見えだ。
懐かしのアイドル特集で見たことがあるような衣装だ。
渡された
ハイソックスを履き、
小さなエプロンを付け、
頭には猫耳のカチューシャをつける。
「わあ!!!可愛い!!」
隣で
特攻服に着替えている女の子が
あたしを見て、
声を上げた。
「そ、そうですか?
何だか……
恥ずかしいです」
「そういうのが
似合う子って良いな。
あなた、永井萌香ちゃんよね?
そんな格好したら、
男子に狙われちゃうよ」
「……はぁぁ。気をつけます」
あたしは
逃げるように、
更衣室を出ると
背中を丸め、
駆け足で教室を目指した。
この格好、
やっぱり恥ずかしい。
カメラの前だと
平気なのに、学校だと違う。
教室に駆け込むと
「おおおお!!!」という声が広がった。