あたし、脱ぎます!《完》
あたしは
お母さんからお財布を預かり、
玄関のドアを開けた。
気温差に
ぶるんと身振りし、
ゆっくりと吐く息は、
白く空へと消えて行った。
傘を差し、
左手はポケットに入れる。
新雪を踏むと、
かすかに音がする。
期待していた
柔らかな雪とは違い、
ベチャベチャと
路上に落ちた時点で
解けてしまった雪の音だった。
あたしはそんな住宅街を歩き進め、
御用達のスーパーに到着。
頼まれた玉ねぎ、牛乳、牛肉を購入する。
今日はシチューでも作る気かな。
ビニール袋をぶら下げ、
降り続ける雪の中を進んだ。
今度は
どちらの手も外気に触れているから、
冷たさがじんじん染みてくる。
家に帰って、
こたつに入ろうと
足早になっていると、
コンビニの前で瞬時に、
あたしの恋愛レーダーが察知した。
……んん??
首だけをクルリと回し、
雑誌コーナーで
立ち読みしている人に視線を向けた。
すると、
二人目に
視線を向けたとき、
鼓動が急スピードを上げた。