あたし、脱ぎます!《完》



「やっぱ、可愛い。
俺、ファンになっちゃった♪」


「俺も!
アイドルが身近にいるなんて、
夢みてぇ」



武藤先輩の友達も
目をトロンとさせながら、
口々に言った。



他の席でも
今年卒業した先輩が座っていて、
同じようなことを言われる。



あたしは、
やっぱり変わったんだな……。


久し振りに
顔を合わせる人のほうが

変化に敏感だ。



胸のことを
気にして、

目立たないようにしていたけど、

今は真逆のことをしている。


今まで
暗かったあたしが

たくさんの人に喜んでもらって、

応援してもらって、

期待してもらって……

今、存在している。


コンプレックスだった
胸のおかげで、

あたしは変われたのだ。



2年D組の
お好み焼き屋は、

土橋くんの予想通りの繁盛ぶり。


廊下に
列が出来てしまうほどだった。


来たお客さんも
あたしに声をかけてくれる。


「頑張ってね」

「応援するよ」

「DVD出たら買うからね」と

たくさんの言葉をもらった。


卒業した先輩も、
他校の生徒も、
そして中学生からも、

いっぱいの元気をもらったんだ。

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