あたし、脱ぎます!《完》
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「雄介くん、
カッコ良かった♪
……でも
“想っている子”って誰だろう?
元カノのこと
まだ忘れてないのかな……」
ライブの
余韻を残しながら、
廊下を歩く佳代が
ポツリと口にした。
「うん……。
誰だろう。
何も言ってくれないなんて、水臭いな」
雄介の歌声が脳裏を過る。
“ガラスのメモリーズ”
歌い終わった雄介が、
ステージ下のあたしに
ゆっくりと
視線を落としたのが気になった。
歌詞の中にも、
“虹を見て微笑んだ”
とか、
“二人で入る一つの傘……”
とか、
何となく思い当たり言葉が並んでいた。
……まさか?
……そんなことないよね?
教室に戻る途中、
職員室の前に
人だかりが出来ていた。
横目で
通り過ぎようとすると、
「萌香!!佳代ちゃん!!」という声がした。
こ、この声は……!?