あたし、脱ぎます!《完》
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「じゃまた東京で」
夜からコンビニのバイトが
入っている淳平くんを
屋上の階段下で見送った。
校門まで行くと、
付き合っているのが
バレてしまうから
良くないと、
淳平くんなりの
配慮(ハイリョ)だった。
「今日は来てくれてありがとうね。
学校で
一緒に居られるなんて、
夢みたいだったよ」
「夢の国から
来たような格好だからな」
クスクスと笑う淳平くんに、
メイドの格好をしていたことを思い出した。
「あたしも
教室に戻らなくちゃ」
「うん。
じゃ後片付け頑張れよ」
淳平くんは
右手を上げ、
階段を駆け下りて行った。
「またね!」というあたしの声に
淳平くんは振り返り、
「おお!」と声を上げた。
大きな背中が
見えなくなると、
「行っちゃった」と
溜め息混じりに呟いた。
淳平くんに会えたのは
嬉しいけど、
やっぱり毎日会いたいな。
余韻に浸りながら
廊下歩いていると、
向かいから
ギターを背負った雄介が歩いてきた。
“今、想っている子を考えながら”と言った雄介の表情が蘇る。
「おお!萌香!
ライブ来てくれてさんきゅうな」
いつもと
変わらない雄介に
「あ、うん」と、
ぎこちない返事をしてしまう。
さっき
目が合ったのも偶然?
……あたしの勘違いかな。
そうだったら良いんだけど。