あたし、脱ぎます!《完》


六本木駅で
真鍋さんの車を待っていた。



口数の少ないあたしに、

「ほら!元気出せよ」と

淳平くんは
肩に手を当て揉み解す。



「うん。ホントにごめんね……」


「もう良いから。
CMが決まると良いな」



淳平くんが言うと、

目の前にステップワゴンが停まり、
助手席の窓が開く。



「いや〜!!ごめん!!」と
顔を出す真鍋さん。



車に近づくと、

「はじめまして、真鍋です。
とりあえず
二人は車に乗ってくれる?」と

後部座席に親指を向けた。



「お疲れさまです」と
言うあたしの次に、

淳平くんが
「おじゃまします」と言って乗り込んだ。



「今日は二人ともごめんね。

とりあえず、
萌香ちゃんは
キャスティング会社に向かうね。

一時間ぐらいで
終わると思うから、

その後、
ディズニーランドに送ってあげるから」



早口で言う真鍋さんは、
車を走らせた。



あたしと
淳平くんは顔を見合わせ、
小さく頷いた。






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