あたし、脱ぎます!《完》
地下駐車場から
地上に出ると、
ぽつぽつ……と
フロントガラスに滴が落ちた。
いつから
降っているのだろう。
アスファルトは
雨に濡れ、
道行く人は傘を差していた。
「萌香ちゃん!!やったね!!」
ご機嫌な声で
ハンドルを握り、
指でリズムを取る
真鍋さんに、
「はい」と頷いた。
真鍋さんは
千葉優衣ちゃんが
映画の主演が
決まった時と同じぐらい
嬉しいと話していた。
だが、
あたしはケータイ画面を見て、
溜息を洩らしてしまった。
『俺は帰るよ。
雨も降ってきたから、
ディズニーランドに行かなくて正解だったな』
淳平くんからのメールだった。
一時間という話が
二時間もかかってしまい、
喫茶店で
待っていた淳平くんは
きっと怒ったに違いない。
「あの……。
淳平くん、帰っちゃったみたいです。
だから……
駅で降ろしてもらっても良いですか?」
「え?そうなの?
……もう
二時間経っているからね。
とりあえず電話してごらんよ」
真鍋さんに言われ、
あたしは淳平くんに電話をかけた。