あたし、脱ぎます!《完》


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傘を差しながら、

体育館を目指す。



木々の
アーチを潜ると、

傘に大粒の雨が落ち、

雨音を立てた。



体育館が見えると、

早く会いたい……という気持ちが
足早にさせた。



ドアを開け、
二階のギャラリーへ上がると、


ダムダムダムダム……と
ドリブルの音が響いている。



ボールは一つ。


そして
一人でプレーする足音。


視界には
リングに向かってシュートを決めた淳平くんの姿が映った。


リングに吸い込まれるバスケットボールが
シュッと気持ちの良い音を立てる。



淳平くんは
ジャンプして

ボールをキャッチすると、

一瞬
こちらに視線を向けた。



視線がぶつかる。



淳平くんは
ボールを脇で抱え、

ジッとこちらを見たまま
体勢を向けた。


そして
額の汗を
Tシャツの袖で拭いだ。


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